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合い言葉GG
by mhara21
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☆マサコのプロフィール
13才のときにグレン・グールドのピアノに 出会う。以来抱き続けたグールドに会うという夢を追って28才でカナダへ。後追い日記はその記録である。
属性はシャーマン。


☆ミクシに習って、ぬさんからの紹介状
不在の幻影から愛するひとを救い出し、グーグルキャッシュの中に愛のエクリチュールを刻印しつづける、GGの恋人。二人はもう触れあうことができないが故に永遠に惹き付けあうことができる、まるで恒星と惑星の関係のような、あらゆる恋人が夢見るユートピアに住むひとです。


☆このブログの本拠地は
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後追い日記83年14 ・試験を終えて

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後追い日記83年14 ・試験を終えて_b0071688_12514624.png

#試験を終えて

下宿に戻るとその晩、高熱を出して吐いた。猛烈に戻すのでトイレから出られない。
コンタクトレンズを落としてしまった。そのお金がちょうどグレード10の受験料と同じで「なんだ、落第してまた受けたのと同じみたいだ」と思いながら吐いていた。

ひどい腕、肩の痛みに、1年生の時に副科だった声楽を主科にして、週30分のピアノの教授で、なんとか2年目の学生生活を続けよう。
「もう人前やテストのためにピアノを弾くのは懲り懲りだ。
いつ、腕がひどい痙攣を起こして、指が使いものにならなくなるか、わかったもんじゃない」

こんな悪条件の下に、何が音楽の勉強をすることに固執させていたのだろう。
「16才の冬にツァラトゥストラと約束したから。その約束とは、社会の最大弱者のために、人類の希望を見つめて我が伴侶のために50才〜60才になったら1曲のピアノ曲を捧げます。ヒマラヤの花のような音楽を奏でていたい。マコは、ヒマラヤのブルーポピーを求め、どこまでも音楽と人間の高みを目指していきます」

マコは夢を見ていた。
ワンダ・ランドフスカ夫人がいる。「いつも私のこと思ってくれて、ありがとう」

「子供の頃、あなたのお弾きになるクラブサンの音がピリピリしているので、フィリピン人がピアノを弾いていると思っていました。

『ゴルトベルク』では、私が15才の時に弾いたのとテンポが瓜二つなのでびっくり。昔あの名曲を誰の演奏も聴かないで弾いたことを嬉しく思っています。特にグールドの最初の録音は聞かないでよかった。どれもこれもテンポが速すぎるから。『王のサラバンド』といわれる第26変奏。グールドは「ジェットコースター」みたいでしょう?

グールドの81年の録音は、京都にいる貝の中に精巧な絵を描く職人のようなお仕事です。1小節の中に絵が描いてある。その極小さが突然、国宝クラスの建造物のように荘厳なひびきで魂に残る。すべてが正確無比。きっとグールドは几帳面な折り目正しい人柄だった。

あの曲のことは思い出すのも嫌。ゴルトベルクには、壊されてしまった心のすべてが入っている。

神さまが努力する人間に辛くあたることをあれ程教えられた事件はなかった。踏みにじられた心が元に戻ることはない。治せる人もいない。治す気もない。これ以上傷つけられるのがいやだから。心はこのままへこんでたらいいのよ」


#21世紀の追記 

ここで、いわゆる精霊からの伝言についてコメントしたい。
確かにツァラトゥストラとおぼしき神霊は「50才〜60才にかけて、ピアノを弾く」といった。16才の私は、それならよく練習して、その時までに上手にならなくてはと思った。
ツァラトゥストラは、厳しい体力の下に「ガムシャラに練習しろ」とは言わなかった。ただ生真面目な私の性格がそう解釈して苦しんだだけである。

このように神の言葉と思われるものも、受け取った人の性質で千差万別になる。神の方でも人をコントロールすることはできないのではないだろうか。神様の方でも自分が発した思いや言葉を人間がどう受け取るかまで支配はできないのは、私達人間同士と同じということではないだろうか?

50才を目前に過去の書き物に手を加える時、心にまず浮かぶのは、若き日の必死な様子と苦労。実際には課せられていないはずの「苦労にいく」損な性質をみつけてギョッとなるのだ。

グールドは試験の日、親のようにマコに付き添っていただろう。もっとグールドに甘えたかった。甘えれば楽だったろうに。しかしグールドが自立した苦労をいとわない人間を好むことも肌で感じるのである。


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by mhara21 | 2006-09-22 09:55 | 後追い日記83年 | Comments(0)
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