合い言葉GG
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☆マサコのプロフィール
13才のときにグレン・グールドのピアノに 出会う。以来抱き続けたグールドに会うという夢を追って28才でカナダへ。後追い日記はその記録である。
属性はシャーマン。


☆ミクシに習って、ぬさんからの紹介状
不在の幻影から愛するひとを救い出し、グーグルキャッシュの中に愛のエクリチュールを刻印しつづける、GGの恋人。二人はもう触れあうことができないが故に永遠に惹き付けあうことができる、まるで恒星と惑星の関係のような、あらゆる恋人が夢見るユートピアに住むひとです。


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カテゴリ:後追い日記81年( 66 )

後追い日記81年33・チャイコフスキーのシーズンズその1

後追い日記81年を1から読む

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#同人誌の友人へ

ご無沙汰しています。
カナダでの日記や紀行文を同人誌へ送るようにとのご希望ですが、私は住む所もままならず、ジプシー気分で生きています。
それにお恥かしいことに、カナダという自然に身を浸しながらも「あめりか物語」や「ふらんす物語」の作者、永井荷風のような表現力がないのです。
ヴィザを取ることの大変さや他人と同居することで感受性がヘチャげているのかも知れません。

グールドに関しても、たとえ会えたとしても、そのまま日本に帰る気がしません。私は一体何をしたいのか全くわからないのです。こんなファンの集中力の対象になっている音楽家が、私のせいで病気しないかと心配になります。

同封のエッセイは、日本で聞きなれた曲を懐かしんで、響きを思い出しながら書きました。長さもそれぞれですので、編集に都合のよいものがあれば使って下さい。
これから、どこで暮らすのかわからないので、完成した小冊子は、留守宅に居所を聞いてから送って下さい。お元気で。



#シーズンズ 訳詞その1:近藤あき子/解説:原真砂子


  1月 炉端で
静かな安らぎの部屋よ
夜になると薄明かりに包まれ
暖炉の火は消え
ろうそくにJ字(もえがら)ができる・・ A.プーシキン

体の芯から温まる美しい曲。火の世界の幻想と精霊たちのバレーが聞き物。 Bパートでは、年若の炎の精霊たちはピンクのドレスを身につけ、また年長のグループは、 オリーブグリーンのドレスで踊っている。最後の超ピアニッシモの和音は、火花の精が「私ここにいるの。気づかないの?」と。

  2月 謝肉祭
もうすぐ賑やかな謝肉祭
どこも底抜け騒ぎで沸き立っている   P.ヴァーゼムスキー

日本で祭というと春夏秋冬だから、2月の祭りに驚く。 ロシアの人は氷の中でお祭り騒ぎをするそうだ。Aパートの第1モチーフはおふざけを氷で固めた様だ。Bパートには、馬につけた鈴が鳴り響くところがある。オーケストラの編成を思わせるダイナミックな曲。

  3月 ひばりの歌
野に咲く花々が揺れ
空には光の波が放たれ・・・・・・
空色の深淵に
春のひばりの歌が満ちる  A.マイコフ

 ト短調。弾くのにエネルギーの要らない美しい曲。チャイコフスキーには「子供のためのアルバム」にト長調の晴れやかな「ひばりの歌」があ る。子供向けの方は、純然たるひばりの歌。
シーズンズに書かれた「ひばりの歌」は、「片思いの歌」
  Aパートはひたすら憂鬱である。
  Bパートでは想いが昂じ鳥になって、あの人の家のガラス戸を、くちばしでつついて、『こっ ちを向いて!!』
  そして「おもしろくないわ。つまらない。」とつぶやく3和音で終わる。

  4月 松雪草
愛らしく、清らかな
松雪草花よ
すかすかの最後の残雪の傍らに咲く
過ぎ去った悲しみの最後の涙よ
新しいもう一つの幸せの最初の夢想・・・ A.マイコフ

松雪草の中には、男の子と女の子。朝露を食べて、いつも仲良く2人きりで暮らしている。
この2人の楽しみは鬼ごっこ。女の子の方が、追いかける男の子よりもいつも少しだけ速い。だから、決してつかまらない。そして、夜になると、月と星の光を集めて、花の中で眠る。

  5月 白 夜
何とすばらしい夜!何と完全な充足!
ありがとう、愛しい、北の夜半の果てよ・・・・
氷の王国から、吹雪の雪の王国から
何と生き生きと美しく 汝の5月は飛び立つことか! A.フェート

出だしのアルペジオが、音楽の女神のハープのよう。Aパートでは、単純なメロディで空の広がりが、Bパートでは夢想が、よく表されている。

  6月 舟 歌
岸辺に出よう。そこでは波が
我らの足に接吻をし (キス)
星達が神秘なる憂愁をたたえて
我等の頭上に輝くであろう。 A.ヌレシチェーフ

ヴェネツィアのゴンドラの船頭の歌である。バルカローレの形では、ショパン、メンデルスゾーン、ブルグミューラーなどの他のロマン 派の作曲家が作品を書いている。
ト短調のAパートから、ト長調のBパートへの移り変わりは、活気が出て、ゴンドラの上で 風を受けている爽やかさを、その先のドラマチックなアルペジオは、アニメーション効果を持っている。



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by mhara21 | 2006-05-14 11:25 | 後追い日記81年 | Comments(3)

後追い日記81年32・大山氏とのおしゃべり

後追い日記81年を1から読む

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#大山氏とのおしゃべり

キャンセルした航空券の受取金と冬物を取りに大山さんの住むヴァンクーヴァーに行く。

大山「トマス・マンの『魔の山』、英語訳は、「magic mountain」だよ。日本語の「魔」は、悪魔の意があって、名作を一般読者から遠ざけている気がする。『魔法の山』と訳すべきだよ」

マコ「デモーニッシュのことを勘違いしているのに似ている。デーモンは、ギリシャの詩人ヘシオドス(前8世紀末頃活躍した叙事詩人)の考えからきていて、ドイツ人は人に感動を与える文学者や音楽家によく見られると解釈している。悪魔の意味ではなくて守護霊として肯定的に現れるデーモンの事よ」

大山「ショーペンハウエルが、訳者は裏切り者といってるよ」

マコ「作曲作品を演奏家がよく弾けないのに似ているかもね。訳者によっては全く読めないもの」

大山「さすが音楽家のコメント」

マコ「グールドは音楽家としてだけでなく、文学哲学青年としても出来上がっている人。
ボードレールの詩から、ゴルトベルクのムードに近い詩を選んで、
ライナーノーツに一部引用している。マンは彼の敬愛する作家よ」

大山「ところで、君はマンの作品を読んでるの?」

マコ「いいや。ハイジが精一杯よ。たまたま自分の読んでいる本を人が読んでないからって、バカにする人は嫌い。何億冊あるかわからない本だし、読み方だって違う訳じゃない」

大山「アハハ、相変わらず気が強いね」



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by mhara21 | 2006-05-13 10:09 | 後追い日記81年 | Comments(0)

後追い日記81年31・日本からのお客さま

後追い日記81年を1から読む

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#日本からのお客さま

「マコさん、お久しぶり。いやぁ、もうほんと、あなた身一つでこんな所でよくやっているよ。僕は去年、ロンドンで数ヶ月暮らしたけれど英語には参ってしまった」

日本から最初のお客、西村氏と長女の明美ちゃんがトロント入りをした。
 「あんた日本にいた時、痛々しかったけど、なかなか生き生きしている。
ところで、グールドはどうなっているの?」
「この間、レコードをいただいたわ」
「それはすごいじゃない」

「手近なところでナイアガラの滝に行こう」


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マコと父娘は、ナイアガラで、カナダ滝の観光をした。

滝の飛沫はその辺りの空気をイオン化し、人間の脳波をアルファ波、瞑想状態にする作用があるというが、俗化された巨大な滝を横から眺めても、何も感じない。
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マコは、お店で安売りのトルコ製の財布を3つ買うか2つにするか悩んだ。3つめは店の人が「本当のお買い得」といったけど、プレゼントに3つも買うのは身分不相応とやめにした。

帰りのバスの中で、マコは突如、あの滝の白いベールの向こうに16才の冬に精霊に連れて行ってもらった異界の山を思い出した。こうなると黙っていられなくなり、明美ちゃんと話し込んだ。

「ニーチェの『ツァラトゥストラ』にその山が出ていて、読んだ時、びっくりしたの。超人思想は永劫回帰とセットになっていないとやり切れるものではない。
私は20才の時、今が永遠と気づいて16才の時に授かった超人思想の重荷から解放された。
グールドもニーチェが好きらしいの。どんなに読んでいるでしょうね。ドイツ語の『超人』(u¨bermennsch)には、登高者の意味なのに、英語訳は『スーパーマン』でおかしいと思わない?
私は自分のことをグールドの演奏を聞く伴侶と思っているの」

「私の絵の先生が、芸術というのは、『他への奉仕だ』といっていたわ。あなたのように人に見えないものが観えたり、聞こえないものが聴ける人、素晴らしいなぁと思うの」
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日本では「滝行」といって小さな水量の滝に打たれる宗教的な修行の場としてとらえる滝への考えがある。
秋の陽ざしを避けられるバスの中で、マコは、紫外線の刺激から頭を守り、滝を味わいだした。

時間を超越する現実からの空想、あるいは思考力が理屈で先に行くだけの自由着想で頭がうずまく。滝は今、オゾン療法となり、マコを治癒する。2つの滝には、アメリカとカナダに彷徨う霊魂をやさしく浄める神様がいらっしゃる。
水のカーテンの奥には大きな舞台がある。カーテンをくぐり抜けるとドラマの女主人公になるマコの姿が見える。マコは今日1日を滝に住む龍神と共に過ごした気持ちになっていた。



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by mhara21 | 2006-05-12 11:03 | 後追い日記81年 | Comments(2)

後追い日記81年30・マコの日記

後追い日記81年を1から読む

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#マコの日記 10月15日

コーワン通りの角の図書館の地下でもグランド・ピアノを借りることができる。教会の暖房費が気になるのでここも使わせてもらう。ただし一人が週に2回、1回につき1時間と言われた。今日も時間を無視。「時間オーバーよ。規則は守って下さい」と館員。少しも応えない。もっともっと弾いていたい。

この間AandAレコードで、グールドのゴルトベルクのレコードを、楽譜店で「ヘンレのゴルトベルク」の楽譜を見つけた。思わず買う。

あちこちからベビーシッターを頼まれる。体の調子が良くなくても断れない。下宿の赤ん坊が泣くたびに、なぜかゴルトベルクのアリアのヴァージョンみたいに聴こえる。
 生まれたばかりの嬰児のことをトマス・マンは、「清澄、優美、平衡、共感」と形容したが、いたいけな無抵抗の生命に対する畏怖の念を抱かせる小さなものを表現出来た音楽は、あのアリアの他にあるまい。生まれたての子供の持つオーラは、神の寵愛ともいうべき光に満ちている。

バイト先で、内緒でおっぱいふくませる。子供によっては小さなお目めで睨んで吸わない人がいる。お腹が一杯の時。「お母さんじゃないって知ってるよ」と生後数か月の子供が言っている。
強く吸われると、こんなに子宮が動くのかとびっくり。
源氏物語「薄雲」の巻に紫上が出ない乳を明石姫君にふくませ、その事がエロチックだという人がいる。
いい事をしているとは思わないけれど、母親の中には、「おっぱいふくませていいわよ」という人がいる。
ゴルトベルクのレコード持参で子供とグールドを聴く。子供ながらに速いところで、「ヒュッ」というのがおもしろい。



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by mhara21 | 2006-05-11 09:26 | 後追い日記81年 | Comments(0)

後追い日記81年29・英語で話すということ

後追い日記81年を1から読む

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#英語で話すということ

教会ではピアノを弾く背中の所に大きなヒーターがあって暖かだ。帰りにスイッチを消すように言われた覚えはない。
人は自分が要求しない内に叶えられた事柄については感謝はしても忘れてしまうものなのかもしれない。
稀に牧師さんとかち合うことがあり、その時は帰ってきた。

お礼として献金をした。「無料です」と言われたけれど、「そういう訳には ‥‥」という意味でどういう英語を喋ったんだったか‥‥。
英語はいつもチンプンカンプン。彼と彼女 ( heとshe ) を間違えるなんていうのはしょっちゅうだった。

マーサは8月24日に男の子を生んでいた。その名前をマコは長い間、「ジェーン Jane 」だと思っていた。
「彼の名前はジェームスよ。ジェーンは女の子の名前」と言われるまで気が付かなかった。
そう言えばアメリカでは台風に女性の名前を付ける。「ジェーン台風」「キャスリーン台風」
そしてジェームズが男性の名前とも知っていたのだけれど、生きている人間に触れての知識ではなかった。

人前で上がってしまうと母国語でもうまく話せない。聞き取りも出来ない。外国語も同じだ。現地で英会話を覚えるのは無理な話。英会話こそ自国で学び、意味合い、程合いの加減を知っておかなければ思いもかけないところで相手の人をバカにすることになる。
1つの言葉の背後の状況を知っておくのは大切なことだった。

ラジオのテキストの丸覚え以外に下地のないマコの英語は、けもの道のよう。言葉のストレスはひどかった。
頭が回り過ぎるのか、気が走り過ぎるのか、音がつかめない。
沢田美喜さんの本に語学を身につけていれば、立派な体格や宝石以上だという言葉があった。言葉が出来ると恐怖心が少なくなり、相手も言葉上から起こる警戒心がなくなる。

仕事をするのでなければ、同じ心を持ったもの同士、テレパシー的な言語が通じる。話が出来ないよりは出来た方がいい。それが語学だった。その出来具合によって、ピンからキリまでの生活が待っているのも、他の能力と変らなかった。



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写真  ジェームスとその弟妹



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by mhara21 | 2006-05-10 10:17 | 後追い日記81年 | Comments(0)

グレン・グールドからの贈り物 2 by モニカ

グレン・グールドからマサコさんが戴いたサイン入りレコード。
「後追い27」で「28にアップする」と書いたけれど、
こんな貴重な写真を、全然関係のない記事に張り付けるのはもったいない。
そこで別記事をたてて、アップすることにした。
これで「そんな話.........」と信じてもらえない人にも、見てもらえる。

    これが、サイン付きレコード「ワーグナー」の表。
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    ワーグナーの裏。左上にサインがある。
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    サインのアップ。”For Miss Hara best wishes Glenn Gould"と書いてある。
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前に「海峡」にアップした時にも書いたけれど、しつこくもう一度!

 みなさん、有名になって人にサインをあげる時には、
 インク切れのボールペンなんかでサインしないようにしましょう。

 みなさん、有名な人からサインを貰ったら、
 そのサインが擦れないように大切にカバーをかけて保存しましょう。

後追い日記81年28を読む

後追い日記81年27・グレン・グールドからの贈り物 1へ戻る






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by mhara21 | 2006-05-09 23:45 | 後追い日記81年 | Comments(14)

後追い日記81年28・虫騒動 

後追い日記81年を1から読む

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#虫騒動 

トロントは素晴しい紅葉のシーズンだ。
それだのに、家主の梁氏がどこからか持ち込んだ古い木材のお陰で、蚤だか南京虫だかすごい虫が家中に現われ、マコの新たな苦難が始まった。台所修理費用を安く上げようというのだ。

噛まれに噛まれて全身はメチャクチャ。
柔らかい所がおいしいのか胸の噛み跡を目にした人は思わず目をそらせる。
マコはアレルギーかも知れないと思い、初めの内は遠慮をしていた。
家主達も教会で噛まれているのだと言い張った。

しばらくしたら家の人々も噛まれ始めたので、真剣になり、お詫びの言葉が出た。
貧乏クジを引いたマコ。ひどい所だけでも40ヵ所の噛み口が数えられた。
それにしても4ヵ月の赤んぼうがいたのに。赤ん坊が一番に噛まれればよかった。
虫は家で一番体の弱い人から噛み始める。
マコは赤んぼより抵抗力がなかった。

薬局で求めた薬は夜寝る前に薄めて全身にかけるものだった。
既に掻きむしっている皮膚にはこの薬はこたえた。
でも新しく噛まれるよりはマシだった。
お金は色々なトラブルを解決する。家主がお金を出して新しい建材を求めていたら、虫は運ばれてこなかっただろう。

夫妻は倹約家であった。
あるとき、「ピアノを買いたいから世話をして欲しい」と頼まれた。
売り主のアパートでピアノを調べていると、やって来ての開口一番が、
「あなた達2人は友人同士か?」
「いいえ、今日会ったばかりよ」

もし仲がよければピアノの買い物でだまされると見ていた気配を感じ、感心した。



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by mhara21 | 2006-05-09 09:20 | 後追い日記81年 | Comments(2)

後追い日記81年27・グレン・グールドからの贈り物 1

後追い日記81年を1から読む

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#プレゼント

「グールドさんからあなたへのレコードを預かっているわ。彼の世話をしている男性がわが家に届けたの。あいにく私は外出中だったのよ。グールドは今、とても忙しくてあなたに会えないって。マコを普通のグールドファンと間違えている。どうやってその事を伝えたらよいだろう? 手紙を書いてみようか? と話しているのよ」

 フランシスから聞いたグールドの答えは予想通り。そんなことは分かっている。たとえ暇でも会わないでしょう。

 サウスウッドの近くに用事が出来たので、約束の日時とは違うけれど我慢できずにスミス家に立ち寄る。寝ていたロバートを起こす事になり恐縮してしまった。

 かくてマコがグールドの部屋からそのまま届いたようなサイン入りレコード5枚のプレゼントを手にしたのは10月4日。その1年後にグールドは亡くなったのだ。

 宝物のレコードを抱え、ダンダス通りまで地下鉄に乗り、路面電車に乗り換えて、キラキラするオンタリオ湖にレコードの事を伝える。

 12年間グールドの世話をしていたレイ・ロバーツ氏によると、グールドは迷信的習慣で、自分のレコードを人にあげないようにしていたという。
グールドが自分のレコードを殆ど聴かないので、ロバーツ氏が「ちょうだい」と言うと「今日はいい日じゃないから」と断わられたそうだ。

 マコへのプレゼントは、非売品のワーグーナー作曲グールド編曲の「ニュールンベルクのマイスタジンガー第1幕の前奏曲」と「神々のたそがれ」から「ジークフリートの牧歌」にサインをしたものと、ベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲のレコードであった。

ベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲のレコード(4枚組ー表紙は一番上の写真)


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ケースの中は左右とも解説書

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For Promotion Only
Ownership Reserved by CBS.
Sale Is Unlawful と書いてある。
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サイン入りレコードを見る グレン・グールドからの贈り物 2 へ










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by mhara21 | 2006-05-07 01:51 | 後追い日記81年 | Comments(18)

後追い日記81年26・イミグレーション パート2

後追い日記81年を1から読む

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#イミグレーション パート2

 10月1日、イミグレーションの日。待合室には係官が順番が来た人の名前を呼びに自分の小さな事務室から出てくる。
 その中でこの人に当たるといいなぁと思っていた。だから彼から名前を呼ばれた時は嬉しかった。女性より男性の方が遥かにやり易いと聞いていたけれど、これ程スムーズにヴィザが出るとは。
何も話さないのに向こうから「8ヵ月でどうでしょうか?」と82年5月15日までのスタンプを押した。

イミグレーションには最初からの記録が保管されていると後に知ったけれど、この係官は気前がよかったのだろう。

 イミグレーションから躍り出るとデパートに直行。越冬用に中国製のダウンのコートを買う。26ドルもする鹿皮の手袋も買う。喜びも悲しみも買い物で表現する愚かな人間。
嬉しさの余りダウンコートを着て街を歩いた。路面電車に乗ってもジロジロと見る人はいない。外国人は人の目や顔をジーっと見るが、人と違ったことをしている人間に好奇の目を向ける人は少ない。



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by mhara21 | 2006-05-05 09:50 | 後追い日記81年 | Comments(0)

後追い日記81年25・トロントあれこれ 

後追い日記81年を1から読む

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#トロントあれこれ 

語学学校のハンザのコースは1クラスだけ。
懐かしい級友のマルセイラはノースヨーク市で住み込みのベビーシッターをしていた。
「いつも一緒に寝る子はかわいい。母親なんてとんでもない職業だわよ」と結婚に憧れるマコを戒めてた。

ハンザ近くの素敵な建物に入るとレイモンド・モリヤマ設計のメトロポリタン図書館だった。
2Fで懐かしいレコードを聞くことが出来た。

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動物園、サイエンスセンター、オンタリオプレイス、どこでも1人で出かけた。

市庁舎では生きている馬に見とれていると、「ハーイ」と友好的な声が上から降ってきた。見上げると当り前だけど人が乗っていた。人間に気付かないで夢中で馬を眺めていたのだ。
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トロントはおいしくて冷たい水が出る。
茹でた2束のそうめんを水にさらす時、川で洗う白い着物のようだった。
トロントの野菜は少しアクが強く、果物も大まかに売られていた。


1人暮らしをすると自分の世話をするのに時間がかかる。
3食きちんと「食べさせる」のはなかなかの仕事だった。

台所は北側で、西に面していた。裏庭は広く、その向こうに小さな家みたいな納屋があった。台所の横のドア付き階段が、私の部屋に近かったのでよく利用した。階段の下は物入れであったが、ネズミが出て大切な日本食品を食い荒らされた。
他の下宿でも服をやられた。古い家ではあることらしく、都市部に住んでいる割には田舎生活が楽しめた。


9月は、アレルギーの状態を良くするために、練習を減らして他の事に気が向くように動いた結果、9日練習し、平均すると毎日21分の稽古となった。症状の1つである発疹は英語で rash という。日本での英会話では覚える機会のない病気の単語だった。

この下宿での静かな生活も台所改造でテンヤワンヤになるのだ。
何日かは料理が出来ず、家は古いチリや埃りで汚なくなった。

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  ↑写真は現在のメトロポリタン図書館



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by mhara21 | 2006-05-04 10:51 | 後追い日記81年 | Comments(1)