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合い言葉GG
by mhara21
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☆マサコのプロフィール
13才のときにグレン・グールドのピアノに 出会う。以来抱き続けたグールドに会うという夢を追って28才でカナダへ。後追い日記はその記録である。
属性はシャーマン。


☆ミクシに習って、ぬさんからの紹介状
不在の幻影から愛するひとを救い出し、グーグルキャッシュの中に愛のエクリチュールを刻印しつづける、GGの恋人。二人はもう触れあうことができないが故に永遠に惹き付けあうことができる、まるで恒星と惑星の関係のような、あらゆる恋人が夢見るユートピアに住むひとです。


☆このブログの本拠地は
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後追い日記84年19 ・詐欺師

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後追い日記84年19 ・詐欺師_b0071688_12082768.jpeg


詐欺師

マリーナの弟子のGというルーマニア人の変な女性に欺された。
朧げながら世の中のゴタゴタの80%以上はお金のことだというのが分かってきた。得をしようとする人、楽をしようとする人、骨惜しみしようとする人、ほとんどの人がとてもケチで人を利用しようとする心がいっぱいだということが、実際の体験から学べた。

Gはマコに「自分のスタジオがあるからそこでピアノの練習をしないか」と持ちかけてきた。
音学院ではレッスン室にはスケジュールがあり、練習時間が自由に決められない。鍵をもらってある程度自由に使えるスタジオの方が勉強には有難いし、学生が音楽院で生徒を教えることは禁止されていたので、将来のレッスン場としてもスタジオがある方がいいと思ったマコはその話しに乗った。
半年分の使用料を払い込み、楽譜を持ち込んで2、3度スタジオを使った。

ある日スタジオに行くとピアノもマコの楽譜もそのスタジオからなくなっていた。びっくりして階下の家主に事情を聴くと、逆に「家賃を払っていない」Gの所在をマコに尋ねた。連絡のとれたGにマコは何度もお金と楽譜を返すように言ったが無視された。見るに見かねた友人が半年後彼女のアパートに同行、楽譜を取り返してたがお金は戻らなかった。

Gは見た感じが暗く、妙な顔つきだったので、年齢も分からなかった。いつもマコに「お金がないの。食べていないの」と言っていた。でもお金を持っていたし、後年、音楽院の先生から「あの人変な人で、僕の友人がお金を取られたと言っていたよ」と聞かされ、やっぱりそうかと思った。

この話にはおまけが2つある。音楽院の4年生の時、教師としての意識レベルの低い先生が開いたピアノ伴奏のコースを取った。能力に差のある生徒を一緒にして平気な先生で、レッスン中でも私用の電話をかけたりする。

このコースにGも出席していて、何とGとマコは一緒にピアノを弾くことになったのである。人の善し悪しをその人の能力で判断するのは良くないことだが、その時に聴いた奇妙な彼女のピアノを、今、思い出す。

尊敬する「ビジネス英語」の杉田敏先生は、「その人の日本語を聴いただけで英語の能力が分かり、はずれたことがない」と。日本人の英語を聴くと相手がどんな人だかよく分かる。その時のGのピアノも彼女の人柄を表わしていた。
人それぞれだけれど、その人の全体は、それぞれの細部によく表われる。小さなことに気づき過ぎて、こちらの反応を表わすのはよくない。英語の「Don't speak soon.(早く結論を出すな)」は、特別の意味がある。

話をGに戻そう。87年の最後の下宿では、次姉が小さなTVを買ってくれた。ある時ニュースで、ホームレスの人々の為にスープのサービスを始めたとフィルムを流した。その中に何とあのGがいた。大写しでコートも脱がずに椅子に腰掛けて、1さじ1さじスープをすすって飲んでいる。

「何でもお金になる所には出かける人だなぁ」

下から若い女の子が声をかけてきた。
「マサコさん、何をそんなに楽しそうに大きな声で笑っているの?  教えて」

マコは涙を拭きながら屋根裏部屋から2階に降りて行った。

そんなこんなで、マコは人を信じられないような気持ちで生きていた。


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by mhara21 | 2007-02-02 12:17 | 後追い日記84年 | Comments(0)
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