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合い言葉GG
by mhara21
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☆マサコのプロフィール
13才のときにグレン・グールドのピアノに 出会う。以来抱き続けたグールドに会うという夢を追って28才でカナダへ。後追い日記はその記録である。
属性はシャーマン。


☆ミクシに習って、ぬさんからの紹介状
不在の幻影から愛するひとを救い出し、グーグルキャッシュの中に愛のエクリチュールを刻印しつづける、GGの恋人。二人はもう触れあうことができないが故に永遠に惹き付けあうことができる、まるで恒星と惑星の関係のような、あらゆる恋人が夢見るユートピアに住むひとです。


☆このブログの本拠地は
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後追い日記84年7・お浄め

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後追い日記84年7・お浄め_b0071688_225342.jpg


#お浄め 

『子守歌』は、きれいに弾けていった。
「すごいわ。これ、難しいのよ」とマリーナ。
4月7日、スクリャービンの練習曲の譜読みが始まった。
春嵐で、首の筋肉がのた打ちまわる程痙攣して痛んだ。 

マコはマリアの所で、いつものように悪口を喚きながら、お浄めを受けていた。
「葬式ごっこ」の話に、イタリー人のマリアは
「それは人生がきつすぎるのよ。死なんてことさらに願うものではないわ。
 あなたの激怒と憤慨の大きなエネルギーはたぶんお母さんの夫への憎しみが強すぎて、それが胎教で胎児に伝わって、生まれた子供が同じことをしていると思う」と言った。

 そこで神様に「寛容の精神を下さい」とお願いすることになった。
 マリアの家で、神様にお祈りすると肝臓でビキッっと手応えがあった。

 下宿に帰ると父の写真を捜し、横になって肝臓に当て、「遠い胎児の頃に戻る」と暗示をかけた。母の父への憤激の最中に戻って、「お父さん、有難うございます」と。肝臓の中の捻れていたような部分がグキッグキッとほどけて、血が通い、腕の痛みが、軽くなっている。

 「肝臓の悪い人は怒りっぽい」とか、「肝臓にはたくさんの細い血管が走っている」と聞くが、腕の痛みの原因は、母親の父親へ激怒発作で胎児のマコの筋肉をひきつらせていたのだ。


 ドン・ジュアンより

  肝臓は胆汁をためておく
  貯蔵室にちがいないのだが、
  その機能働かせることは
  めったにないのである、
  というのは、最初の激情が
  そこにながく止(とど)まるから、
  ほかのもろもろの激情が
  しのびこんできて、糞堆(ふんたい)に
  とぐろまく蝮(まむし)たちのように、
  ひとつながりになるからだ、
  怒りも、恐れも、憎しみも、
  嫉妬や、復讐や、悔恨も、
  ありとあらゆる害毒が
  この内臓(ぞう)から跳びだしてくる、
  「中心火」と呼ばれる隠れた
  火から地震が起こるように。


レッスンでスクリャービンを弾く。
「まぁ、あなた、この1週間に一体どんな事があったのか教えてちょうだい」とマリーナ。
マコを妊娠中の母が悲嘆にくれて暮らし、穏やかでない心そのままにマコの右腕も痛んでいたけれど、神様に寛容の心を下さいとお願いして祈ったら、痛みが少し減ってピアノが弾き易くなったことを話した。

妊娠中の母親の状態と胎児の関係には、ボイド著「ナボコフ伝」にナボコフの弟の状態が、母親の胎教のせいではないか? の記述がある。
当時ナボコフの母は、実母の世話で疲労困憊していた。それで、ボロージャ(ナボコフの子供の頃の愛称)とは全く違った弟が出来上がった。

マコは、17才の時からの愛読書「ツァラトゥストラ」を読んでいた。ニーチェ程「自分を愛する」ことを説いた哲学者はいない。
第三部の「重力の魔(もしくは重力の精について)」で、ある訳者は「とみこうみ」左見右見の言葉を使って、ニーチェの批判するところの「隣人への愛」の愚かしさを訳出している。ニーチェ自身は、悪臭を放つ、病者の自己への愛についても言及しているが、一読すると、マコの魂のように、諸々の人間の苦悩をかき集め、幼い時から苦しんで来た人間は、どう考えればいいのだろう。

「モーツァルトとの散歩」には、数回ニーチェへの言及がある。洒落ている。エレン・ケイの著作にもニーチェがほんの少し顔を出す。ほんのちょっぴりがニーチェにはいいように思う。



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by mhara21 | 2007-01-06 16:35 | 後追い日記84年 | Comments(0)
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