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合い言葉GG
by mhara21
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☆マサコのプロフィール
13才のときにグレン・グールドのピアノに 出会う。以来抱き続けたグールドに会うという夢を追って28才でカナダへ。後追い日記はその記録である。
属性はシャーマン。


☆ミクシに習って、ぬさんからの紹介状
不在の幻影から愛するひとを救い出し、グーグルキャッシュの中に愛のエクリチュールを刻印しつづける、GGの恋人。二人はもう触れあうことができないが故に永遠に惹き付けあうことができる、まるで恒星と惑星の関係のような、あらゆる恋人が夢見るユートピアに住むひとです。


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後追い日記84年1 ・パニック

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後追い日記84年1 ・パニック_b0071688_19181837.jpeg


#パニック
 
カナダに暮らして見るとクリスマス休暇に重きがおかれて、新年はほとんど祝われないことがわかる。アジア系の人々の間では、お正月の方が行事としては大切なのかもしれないが、ほとんどのトロント人は元旦という言葉すらピンと来ないようで、街は2日から平常通りに動き出す。
音楽院の先生たちのレッスン日も新年早々なので、マコはヴァンクーヴァからいつも慌ててトロントに戻る。

飛行機がトロント上空にさしかかると、マコは恐怖に凍り付いた思いで小さな窓から、地上を眺める。雪、また雪。雪しかない平原だった。あるはずの家々も雪にうずめつくされていた。
「ヒィー」
立っているのが精一杯の体でいろいろと事を成して行くのかと心が悲鳴を上げる。
飛行機が落ちて欲しいという望みも去年と変わらなかった。
その時、グールドが「トロントで大雪や大風の日があったら、ぼくが抱えて歩いてあげるよ」と話しかけてきた。実際彼の言葉はとてもロマンチックに響いたけれど、マコの疲労困憊感は取れなかった。グールドがマコの心を見つめているのだなと思った。

新年最初のレッスン日にとんでもないことが起こった。マリーナの奏法で少し無難な状態が続いていた腕が激しく痙攣し、筋肉は数分でカチンコチンの岩のようになり、手の平から指にかけて右手が大きな石のようだった。
マコは途方に暮れた。生まれてからずっとマコを悪魔のように苦しめてきた現象が起こっている。学校に向かう道で、心は貝のように閉ざされていく。
「人に解ってもらえない」「せっかく今まで頑張って綱渡りのように弾いてきたピアノなのに、これでは練習していないみたいだ」
小さな頭は目先の小さなことしか考えられなかった。いつもは笑わないのにマコは精一杯明るくして先生の所に行った。

弾き始めると石でピアノを叩いている感じで、音が違う。「Harsh、harsh」続いて「にぶいわよ」とマリーナは声を上げた。どうしようもない。恐怖の30分が終り、いつもより朗らかにしていたマコだが、実際にはほうほうのていで下宿に戻った。

姉に手紙書く。
「手が痛かったけれど、先生には言わなかった」
モニカの返事は「ちゃんと自分の状態を人に伝えずにいて、後から人が誤解するといってもどうにもならないのではないですか?」

腕は痛み続けて次のレッスン日が来た。今度は痛いことを話せて無事済んだ。
マリーナは「あなたは大きな問題があるものね」と腕を取り、「こうやって弾いて見たら?」と教えて下さった。

とにかく夜も眠れない位痛いのである。子供の頃から痛いところだらけで夜、グースカ寝た時代はない。後年、シャーマンとしてのアイデンティティが確立して、マコの場合、体が痛むのは主に怨霊の想いを浄化するために身を捧げているからとよくわかるのだが、それに加えて心因性の痛みの原因があったのだ。
この年、マコは友人の助言から思い当たることがあり、自分で腕の痛みを軽減することができた。


84年2へ



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by mhara21 | 2006-12-14 14:31 | 後追い日記84年 | Comments(0)
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