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合い言葉GG
by mhara21
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☆マサコのプロフィール
13才のときにグレン・グールドのピアノに 出会う。以来抱き続けたグールドに会うという夢を追って28才でカナダへ。後追い日記はその記録である。
属性はシャーマン。


☆ミクシに習って、ぬさんからの紹介状
不在の幻影から愛するひとを救い出し、グーグルキャッシュの中に愛のエクリチュールを刻印しつづける、GGの恋人。二人はもう触れあうことができないが故に永遠に惹き付けあうことができる、まるで恒星と惑星の関係のような、あらゆる恋人が夢見るユートピアに住むひとです。


☆このブログの本拠地は
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後追い日記83年24 ・マリーナのレッスン

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後追い日記83年24 ・マリーナのレッスン_b0071688_19214162.jpg


#マリーナのレッスン

マリーナとの勉強は9月16日に始まった。2年目はピアノを専門にする程体力がなかったので、声楽を主な学科としていたため、ピアノは1回30分。
バッハのプレリュードとフーガからBWV852を一人で選んで試験用の曲目にしていた。
マリーナは最後まで聴くと、マコがレガートで弾くことが出来なかった16連音符の所を「もっとレガートで弾くように」。
カチンコチンの固い手でレガートを弾こうとするが、音は沈まないでボコボコ浮き上がっていた。

「あなたはレガートが弾けないの?それとも弾き方がわからないの?」
「どうやって弾いたらいいのかわかりません。何か簡単なレガート奏法の練習方法がありませんか?」
「ええ、ありますよ。」

マリーナは、ピアノの前に座ると「1、2、3、4」と数えながらタイミングを合わせて手首を上げ、カウント4で次の音を打鍵する時に手首を落とし、また1234と数えた。その形で1オクターブを1本の指だけで上がったり下りたりする練習だった。

マリーナと変わりばんこにピアノの前に座り、手首が落ちる時の様子と落とした時の音、指で突いた時の音の違いについて学んだ。必ず黒鍵の近くを弾くようにとのことだった。
最後にこう言われた。

「ショパンのプレリュードを弾きましょう。今度楽譜を持っ来て下さい。私のやり方以外で練習しないで下さい。どうやって練習するか言います」
「何故、レガートが弾けないのですか?」
「肘に緊張があるからです。」

マリーナの答えにびっくり。誰もそんなこと教えてくれなかった。
バッハは、肘の緊張が取れるまでおいておくことになる。
1週間丹念に単調な練習を繰り返す。
時々やり方が正しく合っているか、ちゃんとしているのか心配になったが、とにかく日に2時間、1本の指につき20分かけた。母さん指、兄さん指、姉さん指を使った。

次のレッスン日。
マリーナは、マコの肘をめまぐるしく突ついたり、引っ張ったりする。テンス(緊張)のない肘は、打鍵していない時は、ちょうどあやつり人形の紐がゆるい時の様になっていて、肘を引っ張られても必ず元に戻って、ダランとしているとのことだ。 
マリーナに静止しているマコの肘を引っ張られたり腕を揺すられると、腕に空気が入って来るみたいで気持ちがいい。マリーナはマコの右側に付きっきりで腕を抱え込むようにして教えていたため、マコの肘先でマリーナの胸を突つくことがよくあった。ピアノのレッスンというよりはバレーのレッスン。

ショパンのプレリュードから20番のCマイナーが選ばれ、手首を思い切り返す方法で練習するように指示される。
ピアノから流れ出る激しい黒のようなマリーナの音色に感銘を受ける。子供の時からショパンに惹かれることはなかったけれど前奏曲(プレリュード)は全曲聞き覚えていた。

また1週間、あきもせず単調な練習を繰り返す。ピアノを弾く時に良い気を流す1番適当な腕の中の道筋を探そうと懸命であった。納得するまで練習するといつも必ず2時間かかった。抱かえていた問題が解決されそうだとわかった時、目から熱い涙がこぼれ落ちた。

10月半ばショパンのプレリュードの4曲を、レガートそして暗譜で弾けるようになった。
「同僚の先生が、新しい生徒が来て1ヵ月でこれだけのことを成したと言っても私は信じない。私は実際自分の眼の前で起こった事だから信じられるのよ。あなたは特別難しい曲を除いて、この前奏曲のほとんどを完全に弾ける人だわ。今までどうしていたの? ピアノを弾いていたの? 弾いたことはあったの?」
「病気だったから、よく弾けなかったのです」



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by mhara21 | 2006-10-07 14:09 | 後追い日記83年 | Comments(0)
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