合い言葉GG
by mhara21
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☆マサコのプロフィール
13才のときにグレン・グールドのピアノに 出会う。以来抱き続けたグールドに会うという夢を追って28才でカナダへ。後追い日記はその記録である。
属性はシャーマン。


☆ミクシに習って、ぬさんからの紹介状
不在の幻影から愛するひとを救い出し、グーグルキャッシュの中に愛のエクリチュールを刻印しつづける、GGの恋人。二人はもう触れあうことができないが故に永遠に惹き付けあうことができる、まるで恒星と惑星の関係のような、あらゆる恋人が夢見るユートピアに住むひとです。


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後追い日記-My lLife with Glenn Gould-1981年

英語版1981年日記 ← クリックすると一覧が出ます。
English version of 1981 diary ← Click here for the list.

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#プロローグ  出発
 「マコ、体に気をつけるのよ」
 「ちゃんと歯の治療は済んでいるね」
 「マコ、すぐに帰って来ていいのよ」

 新幹線のプラットホームには、マコの兄姉3人が並んで、みな笑顔を振り絞っている。似たような笑い顔、手の使い方。マコが手をガシャガシャ振ると写真のベタ焼きが流れるように車窓から左へ消えていった。席に座ってフーと一息。横にはマコを見送るために上京する3つ年上のお姉さんがふっくらと座っている。

 家族から、かばわれ、与えられる「愛」。これが28才の原真砂子が持っているすべてだった。そのマコが、居心地のいい国、日本を離れて、知り合いのほとんどいないカナダに行く。


 時々、左右の窓から薄いピンクがしおりのように入ってくる。
 日本列島は、これからが桜のシーズン。
 「グールドさん、これ日本の国花なのよ」
 いつか、グールドと一緒に桜を見たい。これがマコの夢だった。今年は桜を見逃すことが残念である。

 マコの人生はたやすいものではなかった。8才から原因不明の発作が始まりビタミンB1欠乏性多発性神経炎や心臓性のリューマチに加えて、発熱や身体の激痛で眠れない日々を何年も過ごした。温度差が発作を招くので、入浴ができない。マコと母親が治療や医者を求めて訪ね歩く時間や費用は空前のものであった。

 そんな苦しみのなかで、マコの支えは、グールドの弾くピアノ。そしてほとんど練習ができなくてもバッハのパルティータを弾く音楽の世界だった。

 15才のマコに「ゴルトベルクを弾いてごらん」とすすめたのは、母のピアノの先生。
 グールドになんとか連絡をつけたいマコがこの曲に極限の体力を振り絞って集中している時、受けた治療のせいでアッという間に腕や指先が別人のように変わって弾けなくなった時のショック。

 夕やみの迫る成田空港で飛行機の搭乗を待っているマコのまわりには、ゴルトベルク変奏曲の精霊たちが付き添っていた。マコは自分の心から閉め出してしまった変奏曲のメロディーが流れているのに気づかない。

 辺りには、月の出を待つ夕刻の楽しさのようなジャスミン(素馨そけい)の香りが漂っていた。トゥワイライト(逢う魔が時)の一刻はグールドの魔神的演奏がよく似合う。 カナダに出向くのもフロイトのいう「リビドー」のせいではないかしら?
 胸から上は、清らかな少女の思い、足は全く違うエネルギーに動かされているよう。マコは、ひとしきり体のいろいろな部分から発する匂いを嗅ぎ分けて退屈な時間を過ごす。
 香りといえば、マコの愛する詩人の大手拓次は、とても珍しい嗅覚を中心とする詩を多く残している。大手拓次のようにその存在を片隅に押し込められた詩人はいるだろうか?
大手拓次も、よく手の匂いを嗅いでいて、みんなから「クマ」のあだ名を付けられていたと言う。

 でもやっぱりあの声。
「さあ、おいで。いつか元気になって僕の国においで。これがカナダの自然・紅葉・雪。これが森。僕の国に来て白い雲の動きを見てごらん! ゴルトベルクが聞こえてくるよ。さあ、僕と一緒にワルツを踊ろう」
 こんな風に病気の事を忘れさせるピアノを聞かせたグレン・グールド、その人に会いに行く。

 グールドはこの春、ゴルトベルクの再録音を始めようしていた。2度目のゴルトベルクは、グールドとファンにとって、グールドが来世へ旅立つ別れの言葉となった。

次 81年2へ




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by mhara21 | 2006-04-05 19:01 | 後追い日記81年 | Comments(7)
Commented by grpspica at 2006-04-07 10:39
このブログの本拠地はgrpspicaの海峡web版http://kaikyou.exblog.jpです。
もっとも本拠地は目下混乱中です。
Commented by muso at 2006-04-08 01:23 x
'next'を押しても、うまくゆかないで,ボクもちょっと
混乱しています。
Commented by mhara21 at 2006-04-08 11:21
nextの件、もう1度やってみましたが、全部うまくいきましたよ。ノリコ
Commented by toshi at 2006-05-19 00:22 x
Gould's Bach Goldberg Variations recorded in 1981 is also my best love among all his music.
Commented by mhara21 at 2006-05-20 10:34
Dear toshi, thank you for your comments. masako

Commented by masako at 2017-08-10 19:34 x
Dear Toshi,

It was lovely to get to know you through this blog.
We may be taking a look at the inside of our grandparents' house in September.
Because, nobody lives there any more.Too bad that you won't be at Taipei coming September. masako.
Commented by grpspica at 2017-09-04 07:16
I'm in Taipei. I love Taipei as well as Toronto.
In 1934, my uncle and my mother got the music book of Goldberg Variations. masako
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