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合い言葉GG
by mhara21
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☆マサコのプロフィール
13才のときにグレン・グールドのピアノに 出会う。以来抱き続けたグールドに会うという夢を追って28才でカナダへ。後追い日記はその記録である。
属性はシャーマン。


☆ミクシに習って、ぬさんからの紹介状
不在の幻影から愛するひとを救い出し、グーグルキャッシュの中に愛のエクリチュールを刻印しつづける、GGの恋人。二人はもう触れあうことができないが故に永遠に惹き付けあうことができる、まるで恒星と惑星の関係のような、あらゆる恋人が夢見るユートピアに住むひとです。


☆このブログの本拠地は
 海峡web版  です。

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私の宝物 

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その1 
 
私の宝物 _b0071688_9543052.jpg

私がトロントで83年1月17日に買ったレコードに「若き日のグレン・グールドVol.1」がある。値段は3ドル99セントで、ピアノに向かうグールドのハンサムな横顔がとても素敵なジャケットである。グールドの追悼記念に発売されたこのレコードには、1951年から53年にかけて録音された演奏ばかりが収められている。
 中でも素晴しいのが共演しているプラッツのヴァイオリン。世界に1本しかない不思議な笛の様にどこまでも歌っている。


 私はこのレコードで、ターニエフ作曲の「ハープの誕生」という曲を知った。ターニエフはチャイコフスキーの弟子で、「ハープの誕生」は「イモーテルズ」というタイトルのもとに集められて1909年に出版された歌曲10曲のうちの1つだそうだ。

私の宝物 _b0071688_959266.jpg
プラッツの解説によれば、グールドは、このロシアの曲を弾くことにあまり熱心ではなかった。でもその出来映えは、まるで、世界中のダイアモンドが、グールドの演奏に協力して歌っているかのようである。またその美しさは、まるで「原石も今、この瞬間に輝かせことができる」かのようなエネルギーに満ちている。
 最初の和音の打鍵は、宇宙のどこから地球を目指してきたのかと思うほどの集中力に恵まれている。

  私にとっては、大切な宝石箱を開けるような曲。
 しかし1995年1月17日の震災でステレオが壊れてしまい、このレコードを聴けなくなってしまった。
 トロントの路面電車の終電車が行き過ぎた後の午前1時半から録音されたというこのレコードにはカセットもあるという。今度カナダを訪れたら、カセットを探してみよう。

その2
 ショパン作曲ノクターン嬰ハ短調遺作は、自筆原稿が消失したため、2つの異なる手書きコピーによって今日に伝えられている。  
 このショパン20歳のときの作品には終りの部分に、私が「世界最長のネックレス」と名付ける、35連音符の宝石がある。この35連音符のことを「この作曲手法を誰にも取られたくなかったので、ショパンは作曲した後、宝石箱のなかにしまっておいた」とまで信じている人もいる。この曲を弾くと皆「悲しい曲ね」とか「失恋した時のような曲だ」とか異口同音にいう。

 私は何とも間の抜けた中間部が弾きにくく、「本当にこの部分はショパンの作曲なのだろうか?」と考えてしまう。

 私は、このノクターンを作品32-1のノクターンと続けて弾くのが好きだ。そして35連音符のネックレスのことを「スリコギの先までジーンとする。」と形容したある男性の表現を受けて、このパッセージを「男性悩殺のネックレス」と名付けている。 1995.9.24


追 記 1
 イモーテル (immortell) の意味を調べるために辞書を開けてみた。
 「immortell=everlasting flower」とある。
 「不朽の花・永遠の花」と訳しつつ、everlasting flower を 探すと「(植)乾いても色、形の変わらない花;そのような花を付ける各種植物《むぎわらぎくなど》」とある。
 私はアッと驚いた。 

 トロントに住んで間もない頃、バスから見かけるグローサリーがあって、その中国人の店では花も売っていた。「もしもグールドのところへ遊びに行くときは、この店で花を買って行こう。」と心に決めていた。
 83年9月からその近くに住むことになった私は、9月25日、トロントで初めて珍しい空色の入ったドライフラワーの様なかわいい花を見た。「グールドの生まれた日だから花を買いたい」と思っていたのに、どういう訳か、私には珍しく倹約をしてしまい、その後長い間、「買えばよかった」と悔やむこととなった。この店では毎年9月になるとこの花を売り出してはいたが、その後数年、あの水色の花を見ることはなかた。

 帰国後、92年秋にある商品のおまけでついていた花の種の袋を見たとき、びっくりした。そこにはあの花が描かれており、「麦わら菊=帝王貝細工」という名前が書いてある。花言葉は「永遠の悲しみ」。
「これはグールドと私の2人だけの秘密の花だ」と思い込んで、花作りに精を出した。
種は見失われそうなストローのかけらの様なもので、それが新しい芽や茎を伸ばしていく様子にワクワクした。
 こぼれ種でいくらでも育つこの「秘密の花」は、健康状態が余りよくなかったグールドと私の2人に似つかわしくなく丈夫である。DNAのいたずらか、思いもかけない色をした花を産出した。私は毎年楽しみ続けた。 

 でも今日9月25日、グールドの誕生日なのに庭には1輪の麦わら菊の花もない。いつも庭の手入れをよくしてくれる上の姉が、夏の庭掃除の時に、私に断わりもなく、みんな抜いて片付けてしまったから。
 そして、レコードも聴けない。
「immortells」 と複数になっているところを見ればこの曲集は、たくさんの種のeverlasting flower を暗示している。私はまだ1種類しか知らない。あとの9曲も知りたい。楽譜は、モスクワに行けば入手できるかしら?と夢を膨らます。
 
 「ハープの誕生」は、グールドから贈られた最高のダイアモンド。
 麦わら菊の思い出と共に今年も又、私に慰めを与えてくれた。
 グールドは死後もまるで生きている人であるかのように、私の人生や生活を守り導いている。
 グールドの存在と音楽に心からの感謝の気持ちをささげたい。 1995.9.25

追 記 2
 私は花の種の袋の裏に書かれていた情報から「ムギワラ菊=帝王貝細工」と思っていた。ところがこの2種は、よく間違えられえて一緒にされるが、別の花である事がわかった。でも、両方ともキク科の多年草でオーストラリア原産。姿、形もよく似ている。
ムギワラ菊は、別名ヘリクリサム。
      英名ストローフラワー。 
カイザイクは、アンモビウム属の草花。

 資料の写真から見ても、私の育てていたのは、帝王貝細工だと思う。 いずれにせよ、ムギワラ菊の花言葉は「常に記憶せよ」であるから、グールドを亡くし、常に「永遠の悲しみ」を記憶している私にとってはどちらも同じで、グールドと私のための花に間違いない。1995.10.02


写真 上 買い求めたレコード
   下 現在発売されているCD


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by mhara21 | 2009-01-14 10:04 | エッセイ | Comments(1)
Commented by grpspica at 2009-01-14 10:08
こちらのブログへ移動出来ていなかった日記です。
気をつけていても、落としてしまうものがありますね。
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